動物との触れ合いで得られる効果

動物との関わりはそこまで多くない人生であった。でもそのひとつひとつは濃厚な思い出として私の中に刻まれている。

幼稚園のとき、ハムスターを飼ったこと。

小学生のとき、カマキリの卵が孵るのを見守ったこと。

中学生のとき、猫アレルギーを発症したこと。

高校生のとき、家の庭にゴールデンレトリバーが住みついたこと。

大学生のとき、車の中に野良猫が2匹入ってきたこと。

社会人になっても、猫アレルギーは治っておらず死にかけたこと。

後半は猫ばっかりだが、定期的に私の生活の中に動物は関わり続けてくれている。でも、自ら望んで動物に歩み寄ることをしていなかった。

そんなある日、名古屋に行く機会があった。

夜は味仙に行くとして、日中遊べる観光地を探していたところ、「東山動植物園」が出てきた。たまにテレビで取り上げられる、イケメンゴリラや雄叫びテナガザルがいる動物園だ。

面白そうと思い、行ってきた。

結果から言うと、エンジョイしすぎて閉館時間までに全てを回りきれなかった。

もともと敷地面積が広く、動物園と植物園が合体しているので、回り切るのが大変らしいのだが、それにしてもだ。

普段そこまで感情の起伏は激しくなく、割と落ち着いている方だ。

もちろん面白ければ笑うし、悲しければ泣く。シチュエーションに合わせて楽しむ派だ。

だが動物園内では、常にこんなに楽しんで良いものかと思うくらいに楽しんだ。空間自体が私を高ぶらせていたのかもしれない。

特にレッサーパンダ。何なんだあの可愛いとカワイイとかわいいを掛け合わせて作られた、cawaii生き物は。

あの空間には可愛いしか存在しないから、言葉も可愛いしか出てこなかった。タレ目って最高ね。

私はひとつ感情のレベルが上がった。これは母性というものに似た感覚だろうか。

繊細ででも大胆で、丸め込まれて解き放たれる。鼓動が波打ち、口角が上がり、脳の指示など無視して突っ走る。

普段どれだけ私は、自分の安心されたテリトリーの中ででしか暮らしていないのかがよく分かった。

変な感情に揺さぶられたくないから、平穏な日常を送りたいから、人間関係での冒険はしない。

でも動物相手ならそれができてしまうかもしれない。だって動物から貰うポジティブな感情の方が多いに決まっているのだから。

私は、ひとまず名古屋から帰ったあと、近所のお花屋さんで小さな植物を買った。

まずは、自分以外の生命を大事に育てるところから始めてみよう。

もう少しだけ私の人間力が上がる可能性を見出してくれた動物たちに感謝して。