今泉力哉と共に歩む人生

日常の延長線上にある、ふとした瞬間や些細な気付きを物語にしている映画やドラマが好きだ。

物語としての楽しさ以外に、共感したり、見落としていた自分に落胆することでの感情の浮き沈みも味わうことができるからだ。

今泉力哉。彼の作品は物語と私の世界が、近い存在であると錯覚させてくれる。それでいて、絶対に関わりたくもない人たちを、ユーモアかつ品よく描くことにより、一種の爽快感を持たせてくれる。

「愛なのに」はまさに突きに突き刺さった軽快作品である。「不適切にもほどがある!」での先生役でも記憶に新しい中島歩が演じた役が、本当に憎めない最悪だけど最高なやつだから、是非観て欲しい。

あとは、勝手に運命を感じてしまうほどに、今泉力哉そのものが、私の好きに関わってくる。「愛がなんだ」、「アイネクライネナハトムジーク」、「からかい上手の高木さん」、「1122」は原作作品の大ファンだ。

さらに、彼が大阪NSC26期生と聞いた時には、驚かされた。かまいたち、和牛、天竺鼠、はまさに私の青春そのもの。好きが好きを呼んでいる。共鳴している。

人生そんなうまくいくはずない、こんな簡単に感情が動くなんて有り得ない、現実味がなさすぎる。時折感じてしまう冷めた目線など、かざす暇もない程に、ゆるーっと、そそくさと、物語は進んでいく。

そこにある会話は、街中で今日も誰かが誰かに話している、何気ない生活の一部に過ぎない。そんなさりげないワンシーンから、観ている者に向けて力強く主観を突き付けてくる。

でも決して押し付けはしない。最後の捉え方はこちらに委ねてくれている軽やかさを、しっかり作っているところが大好きなのだ。

私を形成する細胞の中のひとつに、今泉力哉の考えがある気がする。それくらいに彼の作品を観た後は、体が喜び、満足し、疲労が吹き飛ぶ。相性がいいのだ。

これからの作品を楽しみに、今日も生きていく。