パイナップルの彼方【山本文緒】

居心地の良い生活を送る中、新入社員の登場でその環境は一変。

鬱憤や不満はハワイに向かう?

父親のコネで入った信用金庫に勤める23歳のOL、深文。

上司とも同僚ともうまくいっており、先輩のサユリさんとも程よい距離を保ちながら、仕事に励んでいる。

短大時代の友人月子は、1人ハワイに語学留学をしてしまい、もう1人の友人なつ美は結婚しもうすぐ子供が生まれる。

深文は、女癖が悪い同僚の岡崎に好かれながらも、うまいこと肝心なところは避ける自分に酔いしれていた。

深文は一人暮らしをしており、彼氏の天堂は週末に会いに来てくれる。

深文は順風満帆な生活を送っていた。そしてそれは永遠に続くと思っていた。

だが、同じ部署に日比野という新入社員が入ってきてから、深文の日常は少しずつ変化していく。

彼女は仕事はできたが、サユリさんと馬が合わない様子。

表面上はうまくやっているが、お互い陰で深文に文句を言う始末。

板挟みになる毎日にうんざりしながらも、そんな2人の悪口を聞くことを楽しんでしまう。

だが、ある出来事を境に深文の人生は崩れていく。

平成初期の都会を舞台に、自分らしさを探し求め、自分を保って生き永らえる場所を見つけ出す。

自分のための物語。