ここから脱出するには、殺人犯を見つけるしかない。
死期迫る状況で続く謎の殺人に頭を抱えながらも、考えることはただひとつ、ここから出る、それだけ。
大学時代の登山サークルのメンバーと従兄と一緒に山登りをしている最中、メンバーの1人が前に面白い地下建築を見つけたことがあり、せっかくなら寄らないかと言い出す。
言われるがままに山奥へと歩みを進める一同だが、なかなか辿り着かず、やっとの思いで着いた時にはもう辺りは暗くなっていた。
このまま下山するのは危険と判断し、その地下建築で一晩過ごすことになる。
非常食や寝泊まりができる最低限の道具は揃っていることに安心していると、遭難したと言う3人家族に出会う。
仲間たちとその家族と、夜を明かし朝を迎えた時、地震が発生し、地下建築の外へと続く扉が巨大な岩で塞がれてしまった。
さらに下からは水が流入しはじめ、1週間もすれば全て水没してしまう危機的状況に。
助かる方法はただひとつ、誰かが犠牲になって岩を動かすこと。でもそのひとりをどうするか、だれにも決められない。
そんな矢先に、地下建築内で人が殺された。
外からは入ることができない、ということは犯人はこの中の誰か。
皆が同じことを思う。脱出の犠牲者を犯人にしよう、と。
水没する1週間をタイムリミットに犯人を見つけ出して、脱出をするしかない。
果たして誰が殺したのか。無事に脱出できるのか。
最後の最後まで気が抜けない、密室殺人エンターテイメント。
きっと読んだ後、また読み返す自分がいる。