人気店の店主で、ある料理を食べて衝撃を受け一念発起、修行を経た後自らの店を持ったなんて話をよく聞く。その話を聞く度に、そのお店は間違いないと感じる。
いつまでも追い求める味があり、それに追いつこうとする信念と意気込みが段違いなのだ。そんな間違いないお店の中で、いつ食べても感動する私の中でのヒーリングスポットがあるので紹介したい。
台湾で人気の肉包 唯一の姉妹店が世田谷に
世田谷線の上町駅もしくは世田谷駅から歩いてすぐ。世田谷通り沿いにある赤い看板とモクモクの煙が目印の、手作り台湾肉包「鹿港」”ルーガン”。
台湾の観光地”鹿港”にある行列の絶えない肉包のお店「振味珍」。独特の製法で作られた皮とジューシーな具がマッチした肉包の味に感動した店主が、何度も足を運び門外不出の味を唯一継承できたのがこのお店。
テイクアウト専門の鹿港は、ほぼ厨房と言っても過言ではない店内。注文口から中の様子が伺えるが、何人もの店員さんが出来立てを蒸したてを提供するべく休めることなく作り続けている。
肉まんはもちろんのこと、具なしのまん頭も人気なよう。初めて行ったときは昼にも関わらずあんまんが売り切れており、どのメニューも美味しいと確信せざるを得ない。
甘くてフワッフワな皮がキーポイント
肉まん、あんまん、辛口肉まんを1つずつ購入。袋から熱気をひしひしと感じながら、早足で公園に向かう。早く食べたい、1秒でも早く。
粗挽き肉と滑らかな皮に無駄なしの「肉まん」
皮のツルツル具合、お分かりだろうか。とにかく柔らかくしっとり、水分量が豊富。
皮だけをちぎって食べてみると、ほんのりとした甘さに驚く。具なしのまん頭が人気なのも納得だ。皮だけで楽しめるくらい、きめ細やかで滑らかな口溶けが病みつきになる。
肉あんは丸まって中心に詰まっている。つなぎが固く団子状で、肉の食感をガシガシ感じる粗めな仕上がり。肉汁が皮に染みていて、溶け出した脂が美味しい。
皮の甘味、肉の塩味、そしてもう一度皮の甘味があとに残る。どれを取っても無駄が一切ない、完璧な仕上がりだ。
肉餡との相性良しのニラと春雨「辛口肉まん」
黄色のマークが2つ、緑のマークが1つ付いているのが目印の辛口肉まん。
にしてもキレイな白だ。デリケートな生地を傷つけないよう、全て手包みしているそうで、職人技が伝わってくる。
辛口はニラと春雨が入っており、少しピリ辛な味付け。とろける皮の甘さ故に、濃いめの辛味が目立ち、食欲が終わりを迎えない。
肉の粗挽きがひき肉のようで、麻婆春雨を食べている感覚に近いかもしれない。完全なるおかずまんだ。ピリ辛といいつつもそこまで強くないので、辛いのが苦手な方でも美味しく味わえると思う。
脳が痺れるこしあんに黒ごまの香ばしさ「あんまん」
皮のひねりがなく、プリンと弾けるような皮が特徴のあんまん。肉まんに比べて一回り小ぶりな大きさだ。
ささやかに甘い香りを常に発し、少し強く握ると凹んでしまう柔らかさは、しっかり時間をかけて発酵している生地の膨らみ。
十勝産小豆を使用したこしあんがたっぷり入っていて、笑ってしまうくらいに美味しいので要注意。皮のしっとりと、こしあんのねっとりした口溶けの一体感が絶妙すぎる。
どちらも甘くてくどくなると思いきや、黒ごまが結構入っているおかげで香ばしさもあり、あと引く甘さが心地良い。
はんぶんこは取り合いになりかねないから、ちゃんと独り占めしてほしい。私はいつも2個、秒で食べきってしまう。
近隣公園「世田谷城址公園」
お店から上町駅方面、豪徳寺に向かうように歩くことおよそ6分、緑が豊かな「世田谷城址公園」。
名前の通りお城の跡で、丘のように上に登れば少し街を見下ろせる。ベンチも多く、ゆったりとした時間を過ごせる穴場スポットで私の大のお気に入りなのだが、ある時から丘の上にカラスがマークするようになってしまった。
容赦なく近づいてきて、食べ物を持っているものなら襲ってくる。ベンチを変えても目線の高さで飛んでくるので本当に注意してほしい。
丘から降りて、豪徳寺側に回るとこちらにもベンチがある。ここはまだカラスがマークしていないエリアのようなので、ゆっくり食べたいときはこちらをオススメする。