会えるときに会っておかないといけないんだよ。
固い友情で結ばれた2人の、日常の中のユートピア。
-ミス・アイスサンドイッチ-
小学4年生のぼくは、スーパーのサンドイッチ売場にいる女性店員のことを、ミス・アイスサンドイッチと名付けている。
彼女の大きな目は印象的で、そのまぶたは水色に塗られている。ぼくはその目を見る為に、何度もサンドイッチを買いに行く。
家に帰ると寝たきりのおばあちゃんの隣で、ミス・アイスサンドイッチの似顔絵を描く。
お母さんはよく分からないけど部屋にこもって、石や煙を使って色んな人の話を聞いているみたい。
ある日、いつものようにサンドイッチ売場に並んでいると、目の前の男性がミス・アイスサンドイッチに暴言を吐いた。
そして、クラスの女子たちも、ミス・アイスサンドイッチの風貌を見ると、ひどい言い方をして嘲笑った。
-苺ジャムから苺をひけば-
小学6年生のヘガティーの父は、映画評論家でちょっとした有名人。
パソコンの授業で卒業制作の調べものをしていたクラスの男子が、何気なくヘガティーの父について調べる。
すると、父には亡くなった母の前にもう1人結婚していた女性がおり、そこにひとり女の子を授かっていたことを初めて知る。
ヘガティーには半分血の繋がった姉がいたのだ。
今までは父と、母の得意料理だった苺ジャムを作ったり、一緒に映画を観たりと仲が良かったが、姉の存在を知ってから父と仲良くできなくなってしまった。
そして、姉に会いたくなった。
ぼくにとってのあこがれ、ヘガティーにとってのあこがれ。親友とも呼べる2人が、お互いのあこがれの為に助け合う。
大人びた子供たちが、大人の世界を知って成長を遂げる物語。