婚約者が失踪した。
彼女を探すために過去を洗い出すと、抱えていたものが溢れ出てきた。
架の婚約者、真実が突然失踪する。
2ヶ月前、真実からストーカーに遭っていると告げられていた架は、彼女の身に何かあったのではと警察に相談する。
真実の家は荒らされた様子はなく、架があげた婚約指輪がポツンと置かれていた。
警察には事件性がないと判断され、架は真実の周りの人物に心当たりがないか聞いてまわる。
ストーカーは、真実が東京に来る前の地元、群馬で知り合った人物かもしれないと聞いた架は、真実の両親に話を聞く。
真実はかつて結婚相談所に入会し、何人かの男性と会っていたそうだ。
興信所に頼み手がかりを探そうと提案した架だが、真実の母親陽子に反対される。
どうにも世間体を気にしている陽子の様子に、架は違和感を覚える。
陽子はいつまでも真実に執着し、子離れできない過保護な親であった。
真実の周りの人から話を聞けば聞くほど、真実は陽子からの強い縛りがあったことが分かる。
進学も就職も、結婚相手候補でさえも、陽子が段取りをして話を進めていたのだ。
婚活で悉く感じる、自分自身の価値観に重きを置きすぎる傲慢さ。
親の言いつけを守り誰かに決めてもらう人生を送ってしまう善良さ。
傲慢と善良が行き来する中で、人生の選択に悩み苦しむ大恋愛小説。