イノセント・デイズ【早見和真】

彼女はなぜ死刑囚になったのか?

旧友や刑務官、義姉の視点から見た彼女の人生は、あまりにも哀しいものだった。

田中幸乃、死刑囚。

元恋人の井上敬介の執拗なストーカーであり、結婚し子供も生まれた敬介の家庭を壊すため、自宅アパートに火を放ち、敬介の奥さんと双子の子供を殺害した。

雪乃は自宅で大量の睡眠薬を服薬し、自殺寸前のところで逮捕される。

雪乃について報道が過熱していくと、私生児として生まれ、養父から虐待を受けた過去があり、中学時代には強盗致傷事件を起こしていたことが判明する。

そして、放火事件を起こす直前に雪乃は整形をしていた。

整形シンデレラ殺人事件と呼ばれたこの事件は、裁判員制度初の女性死刑囚が誕生したことでより注目を集めた。

だが、雪乃の身の回りにいた人たちは、その報道に違和感を感じていた。

そして、死刑判決が出たことで、安心もしていたのだった。

幼少期の雪乃は体が弱く、興奮すると気を失ってしまう病を抱えていた。

学生時代の雪乃は読書が好きで、同じく読書好きの理子と親友となる。

社会人となった雪乃は敬介と出会い、献身的に敬介に愛情を注ぐ。

そして、事件が起きた。

死刑宣告を受けてから、雪乃の人生を回想していくと、人に必要とされたいという強い想いが見えてくる。

世間からいかにもやっていそうと言われる彼女の人物像は、果たして本当の姿なのか。

衝撃の社会派長編ミステリー。