あなたの愛人の名前は【島本理生】

恋じゃなくても、繋がってさえいれば。
すれ違いを描く6つの恋愛短編集。

-足跡-

旦那さん以外に抱かれたいと思ったことはないの?
友人に、既婚者しか行けない治療院を紹介され、興味本位で足を運ぶ。
旦那以外の男性との触れ合いに救われるも、どこか心の中では落ち着かない。

-蛇猫奇譚-

主人公は猫のチータ。
ハルちゃんはいつだってチータを可愛がってくれていたが、妊娠してからちょっとずつ様子がおかしくなっていく。
ついにはチータのことを耳が尖った尻尾が長い動物にしか見えない、と言い始める。

-あなたは知らない-

結婚を控えた瞳は、友人に独身のうちに遊んだらと言われ誘われたバーで浅野と出会う。
真っ当な人生、道を踏み外すことなどなかった瞳が、浅野を前にするとどうしても自分らしさを失ってしまう。
そして婚約者と同棲しながらも浅野と遊ぶ日々が始まる。

-俺だけが知らない-

気軽に入ったバーで声をかけた2人組の女性。
1人の美女はそそくさと帰ってしまい、印象の薄い女性だけが残った。
初めて会った人とは寝ないと断られるものの、自分の事をタイプだと言ってくれた瞳との関係が始まる。

-氷の夜に-

小料理屋を営む店主黒田。
雨が降ると、雨宿りにとお店に顔を出してくれる女性がいる。
どの料理も美味しそうに食べてくれるその女性のことが気になる。
でも名前も知らない彼女と近づく術を、真面目な黒田は持っていない。

-あなたの愛人の名前は-

父と母は2人だけの海外旅行でカジノに行った。
その数か月後、父は愛人のもとに行ってしまった。
母からの干渉を嫌に思い、中途半端な人生から脱却するため、1人カジノ旅行をする計画を立てる。

私の奥底を見てくれる、そんな存在が心から欲しいと思う。
でも手を伸ばせばすぐに捕まるわけではない。
そんな人たちの気持ちのすれ違いを描いた恋愛短編集。