鎖に縛られ、愛に呪われ、それでも私達は生きていかなければならない。
自分の人生とは?家族とは?生きるとは?
普通が欠落した主人公2人が導き出した愛の物語。
不倫相手のもとに行ってしまった父親の帰りをいつまでも待ち続ける母親と暮らす高校生の暁海。
男ができると自分のことはほったらかしにし、自由奔放な恋愛を続ける母親を持つ櫂。
生まれ故郷の京都を捨て、新たな男の住む瀬戸内の島に移住してきた母親と櫂。
櫂と暁海は、家族に対する孤独と不自由さに共鳴し惹かれ合う。
母親が男に会うたび、ひとりきりにされてきた櫂は、寂しさを補ってくれた漫画に救われる。
物語の世界では自由に生きることができた。そしていつしか漫画家になることが夢となる。
暁海の母親は、帰ってこない父親を待つ苦しみから心を壊し、夜中にお酒を呑むようになる。
暁美は母親から、父親に会いにいき、帰ってくるように伝えてほしいとお願いをされる。
噂話がすぐに回る小さな島で、親、そして自分たちの恋愛に振り回される。
そんな中でも、大人になり、自分の人生を歩んでいかなければならない。
振り払ってしまえば楽なのに、どうしようもなく愛を欲している。
それは夏の夜空に舞う花火のように、満天の星空のように。
ひとつではない無数の愛の物語。