夜明けの暗さを乗り越えれば、あとは明るい朝が待っている。
PMSとパニック障害に苦しむ男女の、優しい物語。
藤沢は極度のPMS(月経前症候群)に悩まされている。
普段は無口で大人しい彼女だが、生理前になるとイライラが抑えられず攻撃的になってしまうのだ。
学生時代まではスケジュールに自由がきいたが、社会人となるとそう簡単には休めず、人間関係も濃くなる。
大学卒業後に入社した会社では上司に詰め寄ってしまい、反省から強い薬に頼ったことで事態は余計悪化し、すぐに退職。
PMSに理解を示してくれる会社をやっとの思いで探し、今は金属を扱っている小さな会社で働かせてもらっている。
社員は数名、年配社員ばかりだ。みんな穏やかで、PMSに対しても優しく受け止めてくれている。
そんな中、最近転職してきた年下社員の山添は、やる気がなく遅刻ばかりにも関わらず、定時で上がる始末。
藤沢とは、PMSの始まる時期と重なり、些細なことが引き金となり強く当たってしまう。
しかしそんな山添は、パニック障害を患っていた。
かつては彼女がいて、休日は草野球チームの助っ人として活躍し、仕事も大手企業でバリバリ働いていた彼。
急に息苦しさを覚え、得体のしれない不安が体を襲ったのだ。
PMSの藤沢と、パニック障害の山添。
同じ会社で働く2人が、お互いの悩みを知った時、お互いの為に手を差し伸べ、救われていく。
暗闇ばかりではない、輝かしい光溢れるハートフル小説。