人生でいちばん好きな人となら、幸せになれますか?
ひかりの人生の隣にいるのは間違いなく直人だけと確信し、プロポーズを受け3年。彼は朝帰りを繰り返し、浮気をしている。
そんな直人とまた以前のように仲睦まじく暮らせるようにと、直人の両親のお墓を磨くことを願掛けとし、夜な夜な帰りをひとりで待つのであった。
しかし、そのお墓は直人の両親のものではないと分かると、直人を信じる心すら絶たれてしまい、自力で立てなくなるくらいにまで痩せ細ってしまう。
莉里の毎日の楽しみは、子ども食堂で会うおばちゃんの美味しいご飯を食べることと、食材の知識をノートに取ること。
そして、莉里を育てるためにひとり働くママと一緒に、昼からパンケーキを食べて、学んだ知識をお披露目すること。
みんなは若くて美人なママを羨ましがるけどそんなことどうでも良い。昼からパンケーキを食べたら、夜におばちゃんのご飯が食べられるか、心配事はそれだけ。
不倫をして家族を捨てた父。それを決して許せなかった知歌はいま、不倫をしている。
母のように不倫されるよりも、父が選んだ愛人側の方がいいに決まっている。そう自己肯定を繰り返しては、彼の吸う煙草の香りを街中で探し、逢瀬を重ねていく。
相手は映画監督の関戸。海外の映画祭で賞を受賞した作品は、知歌が司法の道にチャレンジしようと影響を受けたものでもある。
その映画の主人公は、世の中の偏見や好奇に晒されても、気高く生きる女性であった。
人気女優のスタイリストを勤めるヨウには、同棲を始めて25年の恋人、淳哉がいる。
淳哉との出会いは高校1年生。ヨウの一目惚れだ。親友と呼べるほど仲良くなり、大学に入る前に告白するが振られてしまう。
ヨウは淳哉の元を去るようにニューヨークへの留学を決め、ファッションを学ぶ。
留学から15年後、帝国ホテルのバーで2人は再会を果たす。
淳哉は結婚をし2人の子供がいた。忘れていた日々を思い返しながら連絡先を交換し、ヨウは再びニューヨークへ戻るが、その2ヶ月後淳哉はヨウの元へ訪ねてきたのだ。
6人の登場人物が送る日々は、少しずつ少しずつ重なっていき、気がつくとひとつの事件にたどり着く。
隣にいる人とただ幸せになりたいだけ。自分に偽りなく突き進みたいだけ。後悔ない人生を歩みたいだけ。
新たな一歩を踏み出す勇気は、自分で見つけないと納得できない。
幸せとは何か深く考えるきっかけとなる恋愛小説。