お探し物は図書室まで【青山美智子】

何をお探し?
小さな図書室から始まる、人生の探し物。

短大卒業後、地元に戻りたくない気持ちから何となくで決めた仕事は、東京にある総合スーパーの婦人服販売員。

厳しいパートさんと共に働く毎日はパッとせず、転職をなんとなく考えてみることに。

次は都会のオフィスで座りながらの事務作業を、と憧れるも、そもそもパソコンスキルがない。

区が運営するコミュニティハウスで、パソコン教室が開かれていることを知り、早速足を運んでみることに。

コミュニティハウスには小さな図書室が併設されており、パソコンガイド本を借りるために入ってみる。

どんな本を探しているか相談できるレファレンスコーナーがあり、狭いカウンターの中でちまちまと毛糸に針を刺して何かを作っている司書さんに出会う。

無愛想だけどどこか不思議な雰囲気を纏う司書さんには、本以外の話もなぜかペラペラと話してしまう。

話を聞いた司書さんは、探している本とは全く関係のない変わった本と、羊毛フェルトを渡してくる。

なぜだろうと戸惑いながらも、探していた人生の道筋をそれらがスッと導いてくれて。

仕事や人生、家族のこと、自分のこと。
考えに迷った5人の登場人物が、図書室に吸い寄せられて、探し物を見つけていく。

明日への活力が満ちてくるハートウォーミング小説。