平成が終わることになり、新しい元号に変わるまで残り1年半。
同じ地区に住む人々の欲が錯誤するとき、それぞれが持つ多様性の本当の意味が浮かび上がる。
検察官の寺井啓喜の息子は不登校で、普通の道に戻そうと叱咤するが避けられている。
学校は不要だと主張する同世代のYouTuberに感化されている息子は、自分の力で生きていくことに迷いがない。
妻の由美は不登校で体力が落ちた息子を心配し、不登校児向けの習い事に行かせることに。
桐生夏月は、イオンモールの中にある寝具店の販売員として働いている。
ノルマもなく、覚えた性能を淡々と説明する楽な仕事に満足しているが、向かいの雑貨屋の店員の無神経さに辟易としていた。
彼氏のいない夏月のプライベートを執拗に詮索してくる度に、人には言えない秘密があることを改めて実感する。
大学の文化祭実行委員の神戸八重子は、外見を評価するミスコンに異議を唱え、多様性を称えるダイバーシティフェスを提案する。
昔から異性の視線が気になり交際経験のない八重子。
だが、ダンスサークルスペードに所属する諸橋大也には、視線の怖さや拒否反応を起こさない。
男らしい肉体や端正な顔立ちに、いつしか目を追ってしまっていた。
令和になってすぐ起きたある事件の背景には、誰にも理解されないある共通点があった。
1人で生きていくと決めていたけれど、繋がりを求めてもいいですか?
明日、死にたくないと思う感覚は、明日、死にたくないなんて考えたことない人が持つ。
多様性という言葉の意義を唱える衝撃の1冊。