東京に来てから、こんなにもクレープって街に馴染んでいて気軽に食べられるスイーツなんだと思った記憶がある。
お祭りの屋台か、学校給食に出てくる冷凍クレープくらいでしか食べたことがない。
“口の中を食べ物でいっぱいにすることは多幸である”という私の考えがある。クレープなんてまさにその象徴ではないか。どうしてもっと早くに気が付かなかったのだ。
キッチンカーを経て店舗経営に乗り出したクレープ専門店
ゆったりとした時間が流れるローカルな街、松陰神社前。地元民や家族連れ、近隣の学生が集うこの街は、由緒正しき老舗のお店はもちろんのこと、お洒落な個人店舗も多く飲食には困らない。
そんな松陰神社前駅近くにキッチンカーでクレープを販売していた「クレープショップハチ」。2023年4月からは、松陰神社の目の前のビル1階にて店舗を構え営業をはじめた。
イートインもできるカジュアルクレープ屋
3坪の店内はほとんどがキッチンで占めているが、カウンター4席にてイートインもできるよう。
コンパクトなお店でつい私が気にしてしまうのが店員さんとの距離感だ。
ご主人1人経営のようだが、無駄に話しかけるでもなくこちらを気にすることなく仕事に集中する絶妙なスタンスが、私は大変気に入った。これでいいのだ。
36種類のクレープと5種類のアイスクリーム
店内の右壁にはクレープ、天井にはドリンクのメニューが貼られている。お酒の提供もあり、ちょっとしたおつまみも用意しているようだ。
オススメはダントツで自家製ヨーグルトホイップを使ったハチクレープとのことで、そちらを注文。すぐ食べるか持ち帰るか聞かれたので、すぐ食べると答えカウンターにて出来上がりを待つ。
店内に流れる心地いい洋楽のリズムに乗りながら、徐々に形をなしていくクレープを見つめる。思っていた倍のフルーツたちが盛り付けられていく様に驚きながらも高揚が止まらない。
ひんやりとしたクリームの温度が手に伝わり、いち早くかぶりつきたい衝動を抑えスマートに店を出る。目の前には色とりどりのクレープと相性抜群な緑豊かな若林公園。そこでいただくとしよう。
コックリとしたクリームと甘酸っぱいフルーツのマリアージュ
大きくひとくちでいこうかと思ったが、いやいや落ち着け自分。いい大人なんだから上品に食べなさいと自分を律し、木のスプーンでまずはクリームをぺろり。
甘くない!一瞬にしてヨーグルトの程よい酸味が口の奥へと届く。コックリとしたクリームは甘さ控えめで全くくどくない。後味もすぐに引いて、次のひとくちを欲している。
いちごとブルーベリーとクリームをすくってパクり。クリームの滑らかさを弾き飛ばすブルーベリーのムチュンとした張りといちごのジューシー。酸味一体?いや三位一体。思わずほころぶほどのトキメキだ。
クレープは無心でかぶりつくに限る
ここで私は童心に返り、おおきなひとくちでクレープを口に迎えた。口の中のクリームとフルーツの量が増えると、主に酸味を感じる。
だがここでクレープのほのかに甘い皮が味を調和させ、噛み応えも生まれる。まさにクレープだからこそ感じる美味しさだ。
クリームとフルーツ、クレープの相性が良く、全く食べ飽きることがない。でもヨーグルトを使ったクリームはもちろん体積的に重く、ちょうど食べきったところでお腹が満たされた。
心置きなくクレープを楽しんだ私は気分晴れやか清々しい気分で帰路についた。
甘いものって偉大だ、一瞬で人を生まれ変わらせる。些細なことで幸せって思える私で良かったな。
近隣公園「若林公園」
徒歩30秒と言えばいいだろうか。もう目の前にある若林公園で食べるのがベストである。
緑が空まで覆っているので、体感涼しい。隙間から覗く日差しを浴びながらぜひ食べてほしいところだ。