昔からお肉が大好きだ。部位は問わず好きだが、お酒を呑むようになってからもっぱら内臓系。
内蔵はお店によって味わいが全く違うのが面白く、美味しいお店を見つけたときの喜びもひとしおである。
ふらふらと散歩している途中に見つけたこのお店。鮮度が命のホルモンがお家で食べられる?
味はどうなんだと怪しみ調べてみると思っていた食べ方と違うことに驚き、興味本位で買ってみた。
お散歩中の出会いは大事にしよう
京王線の笹塚駅と代田橋駅のちょうど間、環七通り沿いにポツンと構えるのが「おうちホルモンかみふく」。水色の可愛らしい看板が目を引く。
おうちホルモン販売店ということはお持ち帰り?と疑問に思い、すぐさま検索すると、看板と同じ色味のシンプルなホームページが出てきた。
「和牛ホルモン」と「鍋セット」のテイクアウト専門店とのこと。もつ鍋好きとしては放っておけない。
脂がしみたスープの照りだけで、白米かきこめるレベル。どれも美味しそうと思っていたところ、田川ホルモン鍋セットという見慣れない言葉が目に飛び込んだ。
田川ホルモン鍋は旨味の塊
田川ホルモン鍋とは福岡県田川地方を中心に広まった鍋料理のこと。焼き肉のタレで下味をつけたホルモンや玉ねぎ、キャベツ、もやし、ニラなどを鉄板で炒めつつ煮込むものらしい。
初めて聞いた料理だったが、なんとも美味しそう。焼き肉のタレは味覚中枢が痺れる最高峰の味付けだと思っている。
それを炒めて煮込むなんて、旨味が凝縮して食べたら体が吹き飛んでしまうのではないか。
家でなら吹き飛んでしまってもいいと思い、店内に足を踏み入れた。
入店→注文→説明→受取のシンプルなテイクアウト店
木の雰囲気が素敵なシンプルなつくり。入って正面はレジ、右手には厨房、左手は冷蔵庫や簡易イスがある。厨房から店員さんが出てきて、注文を受け付ける。
田川ホルモン鍋セットを1つ、と注文すると、スープの鍋ではなくて炒めて煮詰めるタイプですが大丈夫ですか?と丁寧に説明をしてくれた。大丈夫ですと答え、用意できるまで店内のイスで待たせてもらう。
醤油や味噌のもつ鍋も美味しそうだ。もつ鍋の場合は〆はちゃんぽん麺のよう、いいね。チラシの鍋写真を見ているだけで、口の中にホルモンの脂身がジュワーッと広がる想像をしてしまう。
おうちまで我慢我慢。
田川ホルモン鍋セットのボリュームに満足
田川ホルモン鍋セットの中身はこちら。
- もやし
- キャベツ
- 玉ねぎ
- ニラ
- 鷹の爪
- ニンニクチップ
- うどん
- タレ
- ホルモン
- 作り方の紙
野菜もしっかりと量が入っており、1人前としては結構いいボリュームと感じる。
店員さんから受け取るときに作り方の簡単な説明を受けた。鍋と言いながらも調理法は炒めがメインのため、フライパンや鉄板など背の低いもので炒めること。
タレは半分使い、残り半分はお皿にとってそのタレにつけながら食べるのが正式な食べ方。そして〆のうどんはお水を少し入れて煮込むとのこと。
新鮮で大ぶりな国産ホルモンにうっとり
早速作っていったわけだが、ホルモンの1つ1つが想像よりも大きく、全く臭みがない。見た目からもプリンとした張りを感じる。これは期待大だ。
焼き肉のタレを半分入れて、野菜を炒めていく。キャベツやもやしの量が多く、小ぶりのフライパンだとうまく返せないので注意してほしい。
こんがりとした焦げの香りがしてきたころには、全体的に火が通り完成した様子。見た目は野菜炒めのような仕上がりだ。
田川ホルモン鍋、いざ実食
この後の〆のことを考えフライパンごとで失礼する。ひとりだからこそ成せる技とポジティブに捉えよう。
炒めるのにタレは半分しか入れていないが、しっかりと均一に味が回っている。ホルモンは熱を通しても大きさ健在で、ぷっくりとしたフォルムに愛らしさすら感じてしまう。
口に含むとプチュンとした歯ごたえのもと、じゅわりと柔らかなとろみが溶け出す。両頬の内側を流れる美味しさの正体は、上質なホルモンの脂。
軽く炒めただけなのでタレの味は染みていないが、一緒に放った野菜にはジットリとタレが溶け込んでおり、口の中で調和しだす。
正直私はつけダレは不要であった。そのままで十分濃い味付けになっており、満足できる。なんなら〆のうどんを作るときの味の調整に残しておくのがいいかもしれない。
気がつけばホルモンはあらかた食べてしまっていた。胃もたれを感じない体質の私の言う事なので信用ならないかもしれないが、全くくどくなく1人で食べ切れてしまう。
国産の質の良いホルモンだからこそであろう。
〆のうどんはお好みの調理法を探すが良し
〆のうどんにうつることとしよう。冷蔵のうどんをそのままフライパンに入れ、水を目分量で入れグツグツ煮込む。
焼き肉のタレ以外は何も入れていないわけだが、どんな味になるのだろうとワクワクしながら出来上がりを待つ。
うどんが白から薄い褐色に変わったところで火から上げると、こってりした濃厚さに穏やかな酸の香りがモクモクと立ち上がる。
チュルチュルと音を立てながら勢いよく吸い込むと、タレに脂のコクが染み、若干の焦げのテイストが加わる。煮込んだことでクタクタになったキャベツともやしは、数回の咀嚼で飲み込めるほどに。
本場の田川ホルモン鍋は、プレートのような鉄板で調理をするようなので、〆のうどんもスープほどの水は入れないのが正解かもしれない。うどんは別茹でした上で、焼きうどんのようにすればよかったと反省。
出汁はなく焼き肉のタレがメインのスープなので、アレンジ方法はお好みで色々と試してほしい。
おうちでホルモンは楽しめるものである
お店でしか味わえないと思っていた上質なホルモンが、手軽にキットとして売られているのは、本当に助かる。ホルモンは申し分ない味であることは、私が保証しよう。
次回はぜひ鍋のキットを買っていただきたいと思う。