呑兵衛の夢の場所、博多の屋台。普通の道かと思いきや、夜になると忽然と現れる提灯と暖簾の並び。
観光地化してきているものの、常連さんも減ることなく賑わいを見せる愛ある場所。
博多に行くならば屋台は必ず寄っておきたいところだが、女性1人でも大丈夫かな?と不安になるところ。
答えは簡単、全然楽勝。メニューも少数精鋭で回転率高く、1人黙々と食べるに適している。もちろん他のお客さんとの交流も楽しみのひとつだろうが、それは自分の気持ちを優先して。
博多の屋台は「天神」「中洲」「長浜」に分かれる
博多の屋台は大きく3つに分かれており、お店はもちろんのこと規模感や客層、密集さが異なる。
天神エリア
天神エリアには、福岡市内の屋台の約半数が集まり、1番の賑わいを見せる場だ。大通りの道が多く、その道沿いに屋台が密集しており、福岡の主要駅のひとつである天神駅からも近く、若者にも人気なエリア。
中洲エリア
那珂川沿いにある中洲エリアに並ぶ屋台は、福岡を代表する景観。新規屋台も出店してより賑やかに。博多駅から徒歩20分ほどで着くことから、飲み歩きの途中に行ける気軽さ。
長浜エリア
他の屋台に比べると小規模で、市街地からは少し距離があるものの、消滅の危機から脱して新規参入屋台の多いエリア。店舗ごとにコンセプトやメニューが確立しているので、お店選びで迷うことが少ないのが嬉しい。
屋台の基本を覚えておく
いくら観光地といえど1人で行くには勇気がいるもの。事前にルールを頭に入れておけば少しは安心していけるはず。
屋台価格
お通しやチャージ代は無いことがほとんど。ラーメンのみなどのワンオーダーだけでも問題ないところも。メニューと価格がわかりやすく表記されており、他のお店と同価格設定になっていることが多い。
順番待ち
人気店となると並んでいることがほとんど。店員さんに人数を伝え、待ちの場合は並びの列に案内される。その間にメニュー表を渡してくれるので、注文を悩みながら待つのも醍醐味。
お手洗い
屋台にはお手洗いはないので、事前に済ませておくが吉。だが公衆トイレや提携場所も用意されているので、店員さんに聞くのが手っ取り早い。
中洲屋台はラーメン、餃子、おでん、串焼きの宝庫
今回私は博多駅近くのホテルを取ったので、ホテルから徒歩10分で着く中洲エリアに足を運んだ。
8月末の日曜日、夜21時頃に到着し、端から端までひと通り歩いてみたものの、どの屋台も満席で待ちの列ができていた。
ラーメン、餃子、おでん、串焼きのメニューがメインの通りのようで、屋台の前を通る度に豚骨ラーメンのあの独特の香りが全身を覆う。
中洲で30年以上営業する中堅屋台「伸龍」
女将さんの呼び込みと、店員さんの威勢の良い挨拶に心惹かれ、ここ伸龍に決めた。待ちは2組ほどで、女将さんに1人と伝えるとメニュー表を渡されて「ここで待っててね〜」と優しく案内される。
ラーメンも餃子も焼き明太子も食べたい、一気に頼むのはどうだろう、、と悩んでいると、いつの間にか先頭に。
「次案内できるからね、何頼む?」と待ちの列でオーダーが始まった。「最初に全部頼まなきゃですか?」と聞くと、「何回でも注文できるよ〜、追加したかったら声かけてね!」とのことだったので、まずはビールと焼き明太子と焼き餃子を。
コノ字の1番端の席に案内されると、すぐさまビールが届く。調理の様子が見え、自分が今から食べる料理が作られる様子を見ながらビールをゴクゴク飲み干す、なんとも贅沢な時間だ。
福岡に来たらこれを食わずしてどうする「焼き明太子」
表面をバーナーで炙った焼き明太子は、中が半レアの状態。ぽってりとして、細かな粒がみっちり詰まった大ぶりな1本。
箸で掴めば重さを感じ、マヨネーズにつけてひと口で頬張る。ホロホロちらかる。ピリッと辛い。けれどやさしい味わい。
細かな魚卵が口の中でプチッ!プチッ!と爆ぜて、それをビールで流し込めば自然と喜びのため息が。
これは、美味しすぎる。
シンプルな味で箸休めにちょうどいい「焼き餃子」
鉄板で焼き上げた餃子。野菜多めで、薬味や肉肉しさはあまりなくシンプルな味わい。
明太チーズ餃子が人気なようなので、プレーンな焼き餃子よりもそっちの方が良かったかもしれない。
明太子で濃くなった口内を一旦リセットするにはちょうどいいかも。
屋台で食べる博多本場の「とんこつラーメン」
具材は紅生姜、ネギ、キクラゲ、薄いチャーシューにたっぷりのゴマ。麺は極細で、硬めな茹で具合。
スープは脂でコッテリしていそうだが、比較的優しめ。ごくごく飲める。トロみはあるものの口の中へスルーっと入っていく。
本場のとんこつラーメンの本気を感じる。美味しい。何回口に運んでも美味しいが変わらない。
キクラゲのコリコリとネギのシャキシャキ、そこにゴマの香ばしさが、美味しさの相乗効果を図る。
途中で味変にどうぞと、胡椒とおろしニンニクを渡された。何ていいタイミングなこと。
麺も十分なボリュームだが、あっという間に食べ切ってしまう。でも味変を加えることで残ったスープでまたビールが飲めてしまうコスパの良さ。
紅生姜が溶け込んだとんこつスープにニンニクが加わったら、もうそれは別のスープの一品と化す。
屋台の楽しみ方は人それぞれ
席と席が近いので、隣の人の料理が自然に目に入る。あぁ美味しそうと、気がついたら声に出してしまう。
ビール3杯を勢いよく飲み干し、餃子にラーメンなんて食べていたら、自然に目立ってもしまうもので。でも交流に乗るか否かは自分で選べる気軽さがあって居心地がいい。
女性1人でもぜんぜん気にすることなく食べ飲みにメーター振り切れて、サクッと切り上げられる。
私は早くホテルに帰って温泉とサウナに入りたかったので、そそくさとお会計をして帰路についた。